はじめまして winchemwin です。ケミスト(化学者)の視点からみなさんの役に立つかもという記事(当面はシミュレーション関係?)を自分への備忘録も兼ねて書いてゆきたいと思っています。
第1回目は、フリーで利用可能な量子化学計算ソフトの話です。
有機化合物の構造や性質をシミュレーションできるソフトウェアは、多く開発されていますが、今回はオープンソース等で開発が進められているフリーソフトのお話です。
この分野ではGAMESS、Fireflyが有名ですが、このブログでは最近積極的に開発が進められているソフトとして、「Psi4」に注目したいと思っています。Psi4は2007年頃?から開発が進められているオープンソースのソフトウェアで、GNU Lesser General Public Licenseのもと利用可能となっています。
計算機能としては、
・構造最適化
・エネルギー計算
・各種物性計算
・反応経路(遷移状態計算)
等が可能で一通り有機化学者が行いたい機能は有しています。
また、計算手法も、多様な基底関数を用いてハートリーフォック法、密度汎関数法、メラー=プリセット法等で計算が実施できるようにになっています。
「Psi4」は主要な部分はC++言語で書かれているようですが、Python用のAPIが配備されており、Pythonからの計算の実行が可能となっています。
特に著者が注目したのはこの点で、Psi4は従来にない「Python環境を活かした柔軟な計算環境を構築できる」オープンソースソフトウェアとして利用の可能性が広がるのではと感じています。
このブログでは「Psi4」を利用した量子化学計算例等について当面は発信してゆきたいと思っています。