あるケミストの独り言(winchemwinの日記)

ケミスト(化学者)の視点で、面白そうな情報(シミュレーション関係など)を発信

Psi4による量子化学計算ーインプットファイルの作成 その2

 

 前回までの記事で、座標データの取得まで説明してきましたので、ここからは、実際の計算用コードの作成に移ってゆきたいと思います。以下は水分子の構造最適化のコードの例です。

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H2Oの構造最適化の参考コード1


 最初にpsi4のライブラリーをインポート(import psi4)した後、計算に使用するスレッド数とメモリーを設定します(psi4.set_num_threads(nthread=##), psi4.set_memory('###MB'))。私の場合は低スペックのPCで行っていたので上記のコードに記載のスレッド、メモリーですが、PCのスペックに合わせて適宜設定して頂いたら良いかと思います。

 次に化合物の構造情報を記載していきます。座標は前回の記事で記載したxyz形式の座標データを使っています(h2o=psi4.geometry(""" 座標データ"""))。

 続いて、計算結果を保存するためのファイルとしてアウトプットファイルの設定も行った上で(psi4.set_output_file('ファイル名’)、計算手法(今回は’hf/3-21g')、対象分子を設定した上で構造最適化を行うコード(psi4.optimize(計算手法、対象分子)となっています。

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H2Oの構造最適化結果その1

 

 計算を実行すると最初に設定されたスレッド数とメモリーが表示されます。しばらくして構造最適化に成功するとOptimization completeの表示が現れるとともに、安定化された構造のエネルギーが表示されて計算が終了します。別の化合物を計算する場合は化合物名、座標データ、ファイル名、計算手法などを変えてコードを作成し、計算させることで同様に構造最適化計算を実施できます。

 以上、シンプルに構造最適化する手法を紹介させていただきましたが、次回以降

は最適化構造の座標の表示や化学構造の描画について、紹介したいと思います。