あるケミストの独り言(winchemwinの日記)

ケミスト(化学者)の視点で、面白そうな情報(シミュレーション関係など)を発信

Psi4による量子化学計算ー構造最適化(化学構造の描画)

 前回までの記事で水分子の構造最適化と座標データの表示について紹介させていただきました。今回は最適化構造の可視化について、紹介したいと思います。可視化にあたっては、jupyter notebook 上で可視化できるpy3Dmolを使用しています。py3Dmolについては「化学新しいカタチ」さんのブログで詳細に紹介されています(私も参考にさせて頂きました)ので、参考にして貰えればと思います。

future-chem.com

 

 以下はアセトニトリルの構造最適化とpy3Dmolを利用した可視化のコードになります。座標データについては、前回の記事で記載したようにxyz形式のファイルで保存しています。

 py3DMolですが、conda もしくはpipコマンドで予めインストールしておく必要があります。以下のコードではpy3Dmol のライブラリーをインポートし、さらに表示用のウィジェット(ipywidgets)もインポートしています。

アセトニトリルの構造最適化ー構造の描画

 いろんな化合物を表示するコードを前提にdef で関数設定していますが

、1分子だけの表示であればdef , return の部分は省いてもらってもいいいかと思います。表示は読み込みの座標(xyz), 表示範囲、表示スタイルなどを設定した上でview.show( )で行っています。

 以下は実際の描画結果になります。

最適化後のアセトニトリルの構造

 炭素原子が灰色、窒素原子が青色、水素原子が白色で表現されています。視覚化されることで最適化構造が非常ににわかりやすくイメージできるかと思います。計算で本当に妥当な立体構造に最適化されているかのチェックにも非常に有効です。

 Psi4はpythonコード上で利用可能ですので、上記のようにpsi4だけの機能では難しいことも、python で利用できる他のライブラリーをうまく組み合わせることでいろいろできるようになります。この辺が実験化学者にとってPsi4の大きなメリットの一つと

言えるのではないでしょうか。

 次回は構造最適化後に実施する振動計算について紹介したいと思います。