前回までの記事で、化合物の構造最適化、振動計算の実施について紹介してきました。今回は化合物の物性値として、電荷計算の事例について紹介したいと思います。
化合物はアセトニトリルを対象として、構造最適化を行ったあとに、エネルギー計算を行っています(今回は振動計算での最適化構造の確認は省略しています)。
psi4.oepropにおいて計算した波動関数と物性値を指定することで、各種物性値を計算できます。今回は’MULLIKEN_CHARGES'を指定しています。
Mullikenの電荷値はNumpyの配列として取り出しています。
上記のコードを実行すると、下記の結果が表示されます。
それらしい電荷の数値が並んでいますが、原子ごとの電荷がイメージしにくいです
ね。そこで原子情報とMulliken 電荷をそれぞれ取り出すコード(上記)を追加して計算した結果が以下の結果になります。少しはイメージしやすい結果にはなりました。
ただ、分子が大きくなってくると原子数が多くなって、C,H,O と言ってもどの原子を示しているか分かりづらくなります。
そこで「化学の新しいカタチ」さんの記事を参考にRdkit を使って視覚化するコード(追加)が上記になります。ファイル形式等の変換を行っていますが、基本的にはRdkitの類似度マップを使って視覚化を行っています。実際に計算を行ってみますと下記のような結果が得られ、それぞれの原子の電荷の様子がわかりやすく視覚化されているかと思います。
今回の記事については、以上になります。次回は物性値として双極子モーメントの計算について紹介したいと思います。
今回の記事については「化学の新しいカタチ」さんの下記の記事を参考にさせて頂きました。