前回までの記事で、各種物性値として電荷や双極子モーメントの計算について紹介しました。今回は化学物質の反応性等の考察にもよく利用される軌道エネルギーの算出について、紹介したいと思います。
今回もターゲット分子はアセトニトリルで計算しています。これまでと同様に構造最適化を行った後に、得れれた安定構造の座標を保存しています。
続いて得られた最適化構造に対して、一点エネルギー計算(psi4.energy)を実施していますが、この際return_wfnをTrueにして得られた軌道の情報をwfnしています(エネルギー値はEに代入されています)。
得られたwfn の情報から、wfn.naalpha()でLUMO軌道に関する番号(index)を取り出し、またLUMOの一つ下の軌道のHOMOの軌道の番号(index)も取り出し、それぞれLUMO_idx, HOMO_idxとしています。
さらに、epsilon_a_subset()で指定された(HOMO_idx, LUMO_idx)軌道の軌道エネルギーを取り出し、homo, lumo としています。
最後にそれらの情報をプリントアウトしています(エネルギーはa.u単位)。
以上は計算結果ですが、アセトニトリルのHOMO軌道、LUMO軌道のエネルギー値(a.u単位)及びエネルギー準位が示されています。
今回は単にHOMO、LUMO軌道の数値のみの結果の表示でしたが、これらの軌道の周辺の軌道のエネルギーなどを基に考察を進めることもあるかと思います。次回はもう少しHOMO-1、LUMO+1といった軌道の情報も表示させるコード等についても紹介したいと思います。