前回から引き続き屈折率自動算出アプリの紹介です。今回はアプリの利用方法について簡単に紹介したいと思います。
以下はこのシリーズの最初の回にも紹介したアプリの起動画面になります。
画面構成ですが、ファイルの選択、計算方法の設定からなっています。
一番上はSMILES記載ファイルの選択部で、右端の「select」ボタンを押すことで、ファイル選択が画面が現れますので、必要なファイルを選択してOKを押すことで読み込みファイルの設定が行なえます。ファイル形式は基本的にはテキスト形式ですが拡張子として「.txt」と「.smi」が読み込み可能です。
量子化学計算は先の屈折率自動算出アプリ等と同様でMethod(計算手法:HF, DFTなど)、Function (汎関数B3LYP, PBEなど)、基底関数(3-21G, 6-31G(d)など)をプルダウンメニューから選択することができます。選択できる汎関数や基底関数を増やしたい場合はコード内のリストに付け加えることで実施できるようになるかと思います。
Options設定として、計算機側の設定(Thred数、メモリ)と分子の状態(電荷、スピン多重度)の設定も行えるようにしています。こちらは直接数値を入力する形です。
あと、分極率計算の方法を右側の「Polarizability Calc Set」の箇所で設定します。こちらではcc2法とccsd法を選択すると共に分極率計算での基底関数も設定できるようになっています。
また今回はローレンツローレンツ式で屈折率を算出する際の「分子体積」の値を選択できるようになっています(default はアプリ内でのファンデルワールス体積計算で実測値との調整のための調整係数を設定)。
状況に応じて使い分けれ貰えればと思います。ただ密度や他の量子化学計算からの数値を用いる場合は複数分子の連続計算には対応していませんので1分子のみでの計算となります。
すべての設定が終えたらアプリ下部の「Quantum Calculation Start」ボタンを押すことで計算がスタートします。アプリを終了したい場合は右下の「Quit」から終了できます。
計算結果は「Calcd_RI(Abbe)_List.csv」に保存されます。
それぞれのSMILESに対して、分極率、ファンデルワールス体積、屈折率の値のリスト及びアッベ数、さらには振動計算(FreqNega)の結果も追加されており、「FALSE」は負の振動数がない、すなわち一応安定構造で計算は実施されているであろうという目安)の結果も保存されます。
光学分野での材料開発ではアッベ数は重要なファクターになることも多いかと思いますので、参考に紹介させていただきました。
アッベ数自動算出アプリについては今回で終了としたいと思います。