あるケミストの独り言(winchemwinの日記)

ケミスト(化学者)の視点で、面白そうな情報(シミュレーション関係など)を発信

pythonの活用例について(fit ファイルの利用 その9:Cateye社 Avventuraのデータからーヒルクライムデータ-平均勾配、標準偏差)

 前回はヒルクライムデータとして斜度別平均速度について紹介しました。今回は坂の状態を示すのによく利用される平均勾配の算出を行ってみたいと思います。また合わせて統計処理でよく算出される標準偏差の算出も行っています。

 平均勾配ですが、下記のコードでは各斜度ごとのの距離(sumdist)を算出したあとに(一つめのfor文)、その距離に応じた頻度だけ(1mにつき1回としています)、その斜度が現れたとして斜度の分布(ForStd)を作成しています(2つめfor文)。最終的に斜度の分布データから、平均勾配と標準偏差を算出しています。

 尚、距離については、使用したfit データではスピード(m/s)が1秒毎に記録されていたので、スピード=距離(1秒で進んだ)として距離を算出しています。Sumdistは各斜度ごとのトータル距離をカウントしてますが、今回の記事では利用していません。

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平均勾配、標準偏差算出のコード

 上記のコードで算出した平均勾配、標準偏差は以下のようになりました。

 

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算出した平均勾配、標準偏差

 

 自分が普段走っている坂の状態の確認の参考にはなるのではないかと思います。

 あと、「標準偏差」と聞くと難しそうなイメージを持たれるかたもいるかもしれませんが、データのばらつきの様子を示す指標と捉えてもらったらと思います。

 平均値±標準偏差値で概ね全体の68%のデータを締めているという感じになりますので、上記データの場合、平均勾配は8.57%ですが、坂全体としては6.04〜11.1%に斜度の主要な部分があるということになります。坂全体として、斜度が一定でばらつきがなければ標準偏差は小さくなりますし、ゆるい坂と急坂が入り交ざった坂ですとばらつきが大きく標準偏差が大きくなることになります(例えば平均勾配5%の坂でも、4%〜6%の坂が続くような坂であれば標準偏差は小さくなりますが、1%の坂、10%の坂が入り混じった坂ですと標準偏差は大きくなります)。

 坂の情報については、一般的には平均勾配で表されることが多いのですが、平均だけでは表せない部分もあるかと思いますので、今回は「標準偏差」も算出してみました。

 ただ「標準偏差」というと難しいイメージがあるかもしれないので、「坂の分布」などわかりやすい指標として示した方がよいかもしれませんね。

 今回は以上になります。次回は上記コードで作成したSumdistの値と利用した各斜度ごとの距離のグラフの作成を行いたいと思います。