あるケミストの独り言(winchemwinの日記)

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Psi4による量子化学計算ー振動計算 その1

 


 前回までの記事で、構造最適化計算と得られた計算結果の表示について紹介してきました。

得られた最適化構造が安定構造かどうかと確認するために、振動計算が必要となりますので、今回は振動計算について、紹介したいと思います。

  下記がアセトニトリルの振動計算のコードになります。最初の部分は構造最適化と同様の設定で、Psi4をインポートした上で、計算機のスレッド数、メモリを設定しています。また、構造最適化した座標をgeometryとして設定しています。

アセトニトリルの振動計算のコード

 output_file は振動計算の結果を保存するためch3cn-freq.txt(実際は任意ですが)としています。その下のコードが振動計算をするためのコードで、括弧内で、基底関数(hf/3-21g)、計算対象分子(ch3cn)、波動関数の情報などを設定しています。

 計算だけであれば、ここまでのコードでも行えるのですが、計算が終了しても振動数に関する情報は何も表示されません(output_fileを確認すればよいのですが)。そのため、for 文以下で振動数のデータを取り出して、表示させる(20個分)ようにしています。

 以下は計算結果後の表示データになります。

 実際はアセトニトリルの場合は振動数はそれほど多くないのでよけいなデータも表示されていますので、実際の分子に合わせて表示させる振動数を調整すればよいかと思います。

アセトニトリルの振動計算の結果

 以上、今回は振動計算の実施と得られた振動数の表示について紹介しました。次回は構造最適化に続いて振動計算を行い、さらに負の振動数がある場合の判定を行うコードを紹介したいと思います。